全ての鍼が東洋医学?

一般的に鍼=東洋医学という認識があります。しかし、厳密にはそうとも言い切れません。 
多くの治療院は、西洋医学の理論に基づき、症状に対して筋肉や神経などへのアプローチで治療を行います。
一方、東洋医学本来の理論で治療を行う鍼灸院は数が少なく、鍼灸院全体の1〜2割程度といわれています。 
東洋医学本来の治療では「経絡」に流れる「気血」に対するアプローチで治療をおこないます。    
東洋と西洋どちらも優劣はありませんが、せっかく鍼を受けるのであれば東洋医学の理論に基づいた脉診流経絡治療を受けてみてはいかがでしょうか?

脉診流経絡治療とは?

当院が行う「脉診流経絡治療」とは、人の身体に流れる生命エネルギーを循環させる”道”があるとされる古代中国の理論に基づいた治療法で、その道を「経絡」と呼び、経絡の内外を気や血といった生命エネルギーが絶え間なく流れていると考えています。
この気血が、経絡をバランス良く巡っているのが“健康”という状態なのです。
経絡は「五臓六腑」にも巡り、正しく働く事によって、身体の健康は保たれています。
経絡のバランスが崩れ、気血の流れが悪くなると、体内の五臓六腑それぞれの器官が正常に働く事ができなくなってしまい、結果として様々な身体の不調が発生するのです。

脉診流経絡治療では「望診・聞診・問診・切診」という4つの診察方法を用いて経絡の気血の流れと五臓六腑の動きなど、現在の身体の状態を確認します。

四診法

  1. 望診 : 体格や姿勢、顔色などを確認します
  2. 聞診 : 声色や声の高さなどを確認します
  3. 問診 : 現在の病状、生活環境(食欲、睡眠、便通)などを伺います
  4. 切診:
    1. 1. 両手足の肌の具合、滑らかさ、ザラザラ、凸凹などを軽く触りながら確認します
    2. 2. 腹診にておへそを中心に鳩尾(みぞおち)から恥骨上縁までのお腹の張り、肌の具合、滑らかさ、ザラザラ、凸凹などを軽く触りながら確認します
    3. 3. 脉診にて脉の浮き沈み、早さ、強さ、臓腑の状態を確認します

四診法によって得られた情報をもとに五臓のどこに病の根本原因となる気血の流れの変動があるかを見立て、それぞれのタイプに振り分けます。
このタイプ別の見立てを「証(しょう)」といいます。

証が立つことによって治療方針が確立し、身体全体の状態や症状に対する根本の原因を突き止め、その原因に対し鍼とお灸を行います。

脉診流経絡治療の治療は、本治法と標治法、大きく分けて2つの治療法から構成されています。

1. 本治法

病の根本原因である五臓六腑に対する気血の過不足を肘から先、膝から下にある重要なツボを使って調整する治療法で、気血が足りていない経絡には「補法」で補い、過剰に有り余った経絡からは「瀉法」で抜き去り、気血のバランスを調整します。
身体の基礎を作っていく治療法で、脉診流経絡治療では最も大切な治療法です。

2. 標治法

本治法で気血のバランスを整えた後、痛みのある患部やバランスを崩す原因となった経絡などに鍼やお灸を用いて治療し、症状を緩和させます。

本治法では、鍼1本ごとに患者さまの身体への影響を脉診や腹診で確認します。
治療がうまくいけば脉は穏やかになり、肌には艶と潤いが出てきます。
そうした変化を確かめながら次の鍼を行うかどうか判断し、ひとりひとりのお身体の状態に合わせた完全オーダーメイドの治療を進めていくのが脉診流経絡治療なのです。

当院では、患者さまが今抱えている「痛みや苦痛」を取り除く事はとても大切な事と考えています。
しかし、それと同時に体内の免疫力を高めて、患者さまご自身の「自然治癒力」によって病や症状が起こりにくい身体づくりを行う「未病治」を目標として患者さまと二人三脚で治療に取り組んでまいります。

あなたはどのタイプ?

肝タイプ

このタイプは活動的でハキハキとした親分肌(姉御肌)タイプ。
見た目は筋肉質で目が大きいのが特徴です。
イライラすると自律神経のバランスが崩れ、血管が集まる目や頬に影響がでやすくなります。
また、眉間やこめかみには静脈が集まるので青くみえます。イライラして自律神経の働きが低下したり、過剰なダイエットで栄養不足になったりすると爪に筋がはいります。
ストレスがかかったり常に緊張状態が続いていると、身体に力が入りやすく、肩こりや歯ぎしりを起こしやすい特徴があります。

肝タイプに出やすい症状

  • 疲れ目など目の症状
  • 筋緊張
  • 睡眠障がい
  • 爪の異常

心タイプ

このタイプは人目を気にする気配り屋さんで、常にニコニコして周りとの調和を大切にします。
少し動くだけで息切れや動悸といった症状が現れ汗もかきやすい特徴があります。
精神的にも弱りやすく、いわゆる「心が病む」状態にもなりやすいタイプです。不眠や食欲の減退があり、気分の乱高下が生まれやすいです。

心タイプに出やすい症状

  • 動悸、息切れ
  • 不安感がこみあげてくる
  • 人ごみが苦手

脾タイプ

このタイプは陽気で明るく、お喋り大好き。
歌う事も大好きで、話し言葉も抑揚があり、〇〇で〜と、いった感じに語尾が伸びるのが特徴です。
見た目は口が大きかったり唇が厚いのが特徴です。
ストレスを溜め込むと、物思いにふけり、色々と考え込んで夜寝付けなくなったり、胃腸などの消化器系に問題が出やすいタイプとなります。
さらに脾タイプは女性に多く見られ、便秘・内出血・甘いものが好きなどの特徴が多く見られます。

脾タイプに出やすい症状

  • 雨の日など身体が怠くなる
  • 節々が痛む
  • 朝、布団からなかなか出られない

肺タイプ

このタイプは感受性が豊かで、理論立った考えをする傾向にあり、物静かで風邪をひきやすいといった病弱な方に多いのが特徴です。
見た目は色白で痩型の方が多く、肌がとてもきめ細やかだったり生毛で覆われたりするのが特徴です。
ストレスによって呼吸器系 皮膚に影響が出やすい方が多く、性格的は真面目なタイプなのでストレスによって体調を崩すと、メソメソシクシクといった悲劇のヒロインになりやすいタイプです。
また、肺と大腸は関係があり、大腸の調子が悪いと肌の調子が悪くなったり、アレルギー症状が出ることがあります。

肺タイプに出やすい症状

  • 風邪をひきやすく咳が出る
  • 鼻炎など、アレルギー体質
  • 敏感肌・乾燥肌

腎タイプ

このタイプは怖がりで石橋を叩いて渡る、いわゆる慎重派。
意思が弱く飽きっぽいといった側面はありますが、学者や発明家といった天才肌に多いのが特徴です。
見た目は太っていたり痩せていたり、耳が大きかったり小さかったりして、肌艶はあまり良くありません。
腎は、ホルモン分泌、耳、髪、老廃物の濾過、水分代謝にもかかわったり、ビタミンDを活性化させカルシウムの吸収を促したり、体を温めるといった生理機能などに関与したり、成長、発育、生殖にかかわり生命エネルギーを蓄える臓器なので、ストレスなどによって働きが低下するといわゆる老化のような症状を表します。

腎タイプに出やすい症状

  • むくみやすい
  • 足が冷えやすくのぼせやすい
  • 息が吸いづらく呼吸が浅い

上記のタイプは、あくまで大まかな目安です。
細かなタイプや身体の変化について知りたい方は、治療の際にお申し付けください。